谷津田という場所

丘陵に抱かれた細長い谷。幅30〜40メートル、奥行き約700メートルの細い土地に、やつだファームの畑は連なっています。

谷津田とは、丘陵地の谷間に形成された水田のことです。日本の里山に古くから存在してきたこの地形は、高度経済成長以降、急速に失われてきました。

やつだファームがあるのは、栃木県那須烏山市。丘と丘の間に刻まれたこの谷に、私たちは種を播きます。

谷津田の俯瞰
朝の谷津田 夏の谷津田

なぜ美味しいのか

谷津田という地形が持つ、4つの条件が重なって、この土地の野菜は甘くなります。

地形

丘陵に挟まれた谷

両側の丘が外からの風を遮り、谷の中に独特の気候を生み出します。日中の熱が谷に溜まり、夜になると丘から冷涼な空気が流れ込みます。

寒暖差

昼夜の温度差

昼間と夜間の気温差は、夏でも15〜20℃に達することがあります。この寒暖差が野菜にストレスを与え、糖を蓄積させる仕組みを促します。

100年の田んぼの土

長年にわたって水田として使われてきた土地の土は、腐植質が豊かです。有機物が蓄積された重い粘土質の土が、根の張りをしっかりと支えます。

山から流れ込む清澄な水

周囲の丘陵を源とする湧き水と沢水が、田んぼに常時流れ込んでいます。ミネラルを含んだ清澄な水が、野菜の生育を支えています。

ここに棲む生きもの

水のきれいな場所にしか棲めない生きものたちが、やつだファームの谷津田にはいます。

ホタルが乱舞する初夏。タガメが泳ぐ畑。上空を渡るサシバ。この谷の生物多様性は、土地の健康さを示すバロメーターです。

水辺の生きもの

水辺の生きもの

タガメ・ゲンゴロウ

里山の景観

里山の景観

四季の谷津田

ホタル

ホタル

初夏に乱舞する

猛禽類

猛禽類

サシバが渡る

栽培について

やつだファームの栽培方針は、慣行栽培・基本に忠実、の一言に尽きます。

農薬や化学肥料を全否定するのではなく、必要な場面で必要な量だけ使う。それよりも大切なのは、種の選定、播き時、整枝、水管理、収穫のタイミング。これら基本の農作業を丁寧に、手を抜かずにやることだと考えています。

ひとつひとつの作業の精度が、野菜の味に直結する。それを信じて、日々畑に立っています。

畑仕事 畑仕事2 トンネル栽培

やつびと100年の森

谷津田を囲む丘の斜面は、かつて里山の雑木林でした。人が薪を採り、炭を焼き、手を入れてきたこの森は、管理者が減るにつれて荒廃が進んでいました。

やつだファームは、農業の傍らでこの森の手入れを続けています。倒木の処理、竹林の整備、萌芽更新による雑木林の再生。100年後にも豊かな森が残るように、という気持ちで取り組んでいます。

森が整えば水が澄む。水が澄めば田んぼが潤う。農業と森の管理は、私たちの中で切り離せない一つのことです。

森の手入れ きのこ